第334章

 望月琛はしばし沈黙し、やがて重々しく口を開いた。

「ああ、多少は把握している」

 前田南が斎藤維に電話をかけたこと。

 それに斎藤奈々の一件もある。彼は斎藤家についてある程度知っていた。

「彼と食事をするつもりです。せっかく連絡も取りましたし」

 前田南は淡々と告げた。

 彼女は望月琛を見ようともしなかった。これは相談ではない。単なる望月琛への通告だからだ。

 望月琛は頷きつつ、脳裏に過去の出来事を蘇らせていた。

 斎藤奈々がしでかした事、そして斎藤維の所業。無論、彼はすべて熟知している。

 前田南がいったん決めたことは覆らないと知っている以上、望月琛は頷くしかなかった。...

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